【記事改定日】2026.8.21
【筆者】岡田匡史(国家資格・鍼灸師)
食欲不振・腹部膨満感・胃もたれ・吐き気など、消化器系の不調を訴えて来院される方は少なくありません。
そうした方のお腹を指腹で軽く叩くと、「ポチャ・ポチャ」という水の音が聞こえることがあります。
健康な状態では、通常このような音は聞こえないとされています。
実はこの水音、東洋医学でいう「胃内停水」のサインかもしれません。
この記事では、胃内停水とはどのような状態か、そして改善に役立つとされるツボについて、鍼灸師の視点からご紹介します。
胃内停水があるとどんな症状が出やすい?

胃内停水の状態にあると、次のような症状が現れやすいと考えられています。
- 胃もたれ・食欲不振
- 吐き気・嘔吐
- 下痢・軟便
- 腹部膨満感
- 疲れやすさ・倦怠感
- 痰が多い・口内の粘つき
ただし、これらの症状は他の要因からも起こり得るため、症状が続く場合や強い場合には、消化器内科など医療機関を受診し、原因を確認することが基本となります。
鍼灸はあくまで、そうした医療機関での治療と並行して行う補完的なケアという位置づけで捉えていただければと思います。
胃内停水と「脾」の働きにはどんな関係がある?

東洋医学では、食べ物の消化・吸収、そして水分の運搬に五臓六腑の「脾」が関わっていると考えられています。
この脾の働きが低下すると、胃で水分が停滞しやすくなると考えられています。
そのため、脾に関わりの深いツボを用いて機能を整えていくことが、胃内停水への一つのアプローチになります。
当院にも、機能性ディスペプシアで胃の不調を訴えて来院される方がいらっしゃいます。
その中には、お腹を軽く叩くと水音が聞こえる、胃内停水の状態が確認できる方もいます。
そうした方に対して、胃内停水の改善を目指して脾へのアプローチを続けていくと、徐々に症状の変化がみられる方もいらっしゃいます。
ただし、これは個人の経過であり、すべての方に同じ変化がみられるわけではありません。
生活習慣やストレスなど他の要因も症状に影響するため、機能性ディスペプシアの診断や治療については、消化器内科など医療機関での経過観察と並行して、鍼灸を補完的に取り入れていただくことをおすすめします。
胃内停水におすすめのツボ3選
①陰陵泉(いんりょうせん)

陰陵泉は、足の太陰脾経(たいいんひけい)と呼ばれる経絡上にあり、脾とつながりが深いとされるツボです。
すねの内側から膝上に向かって指腹で擦り上げ、骨のカーブしたところにあるガム状の硬さを感じる部分が目安になります。
②足三里(あしさんり)

足三里は、足の陽明胃経(ようめいいけい)と呼ばれる経絡上にあり、胃とつながりが深いとされるツボです。
外膝眼(がいしつがん、膝蓋靭帯の外側のくぼみ)から、下方向に3寸の位置が目安になります。
【参考】3寸は、人差し指から小指までの幅が目安です。
③脾兪(ひゆ)

脾兪は、第11・12胸椎棘突起間(脊中)から、外側に1寸5分離れたところが目安になります。
肩甲骨の下端のラインが、おおよそ胸椎7番・8番の間付近にあたるため、そこから棘突起の数を数えていくと位置を確認しやすくなります。
【参考】1寸は親指の幅、5分はその半分が目安です。
名前に「脾」とつくとおり、脾の働きと関わりが深いとされるツボです。
[補足]
陰陵泉・足三里の位置については、以下の動画でも解説していますので、あわせてご参照ください。
こちらの動画は、
機能性ディスペプシアによる胃もたれ・胃痛・膨満感を対象に、足三里・陰陵泉・中封(ちゅうほう)というツボをご紹介しています。
今回の記事でご紹介した脾兪とは異なるツボですが、あわせて参考にしていただければと思います。
胃内停水が気になる方へ

胃内停水があり、胃もたれ・食欲不振・吐き気・腹部膨満感などの症状にお悩みの方は、陰陵泉・足三里・脾兪へのお灸が一つの選択肢になると考えられます。
なお、お灸による変化の感じ方には個人差があり、効果を保証するものではありません。
年齢や食生活、他の持病の有無なども症状に影響するため、症状が長引く場合や強い場合は、自己判断で様子を見続けず、医療機関へのご相談をおすすめします。
鍼灸は、そうした医療機関での診察・治療と組み合わせていただく補完的なケアとしてご活用いただければと思います。
当院は埼玉県幸手市を中心に、久喜市・加須市・杉戸町などからも多くの方にご来院いただいております。
施術をご希望の方は、「ご利用の流れ」をご覧ください。


