痔の出血を止めるツボ|漏谷・孔最の使い方

ソファーでお尻に手を当てる女性 ツボ情報

【記事投稿日】2026年5月24日
【筆者】岡田匡史(国家資格・鍼灸師)

当院には、自律神経失調症や妊活で体質改善に来られる方が多くいらっしゃいます。
その中に、痔でお悩みの方もいらっしゃいます。

実は私自身も、10年ほど前から痔になることがあります。

きっかけはおそらく、中年太りを解消しようとエアロバイクを乗り過ぎたこと。
お尻に過度な負担がかかったのが原因ではないかと考えています。


痔と東洋医学——「なぜ出血するのか」を考える

顎に手を当て首をかしげる女性

先日、血便と肛門の痛み(病院で検査中)でお困りの方から、こんな質問をいただきました。

「東洋医学では、出血はどのように考えますか?」

私が真っ先に思い浮かべるのは、「脾(ひ)」の不調です。

※脾については、「東洋医学で考える脾の働き」もご覧ください。

東洋医学では、脾には次の4つの主な働きがあると考えられています。

  • 運化(うんか):食べ物を消化・吸収し、栄養を全身に送る
  • 昇清(しょうせい):栄養を体の上部へ持ち上げる
  • 統血(とうけつ):血が脈の外に漏れ出ないよう保つ
  • 生血(せいけつ):血を作る

「脾の統血作用」が崩れると、血が脈から漏れ出す

本を広げ立つ院長

出血と脾が深く関わるのは、統血作用のためです。

統血とは「血を統(す)べる」、つまり血が脈の外に漏れ出ないよう管理する働きです。
この機能が低下すると、血が脈からこぼれ落ちる症状として現れます。

具体的には——
皮下出血・血便・血尿・不正性器出血などです。

「ちょっとぶつけただけでアザになってしまう」という患者さんの言葉を聞くたびに、
脾が弱っていないか?
お腹の調子は大丈夫か?
めまいはないか?

と自然に思考が巡ります。

また、統血作用が低下している方は、
消化器症状も併せて持っていることが多くあります。

運化・昇清の働きが落ちると、食欲不振・下痢・軟便が起こりやすく、頭がぼんやりしたりふらつき(めまい)を感じることもあります。

痔で出血しやすい方は、まずこの「脾の統血作用」との関係を疑うことが大切です。


痔の出血に私が使う2つのツボ

脾の統血作用の低下が関わっている場合、私は「漏谷(ろうこく)」と「孔最(こうさい)」を中心に使います。

漏谷(ろうこく)——「漏れる」を止めるツボ

漏谷の位置を示す人体図

漏谷は、あまり知られていませんが、痔の出血に対して非常に理にかなったツボです。

まず名前に注目してください。
「漏谷」の「漏」は、漏れる・こぼれるという意味です。

東洋医学では、ツボの名前にはその働きや場所のヒントが含まれていることが多く、「漏れ出るもの」に働きかけるツボとして理解できます。

そして漏谷は、脾の経絡(足の太陰脾経)上にあるツボです。
脾経上にあるということは、脾の統血作用に直接アプローチできるということ。
出血を起こしている根本の原因(脾の統血低下)に働きかけられる、理論的な必然性があります。

長野潔先生の著書『鍼灸臨床 新治療法の探求』にも、次のように明記されています。

痔出血の場合に脾経の「漏谷」と肺経の「孔最」に施灸をするならば痔出血は止まる

先生の豊富な臨床経験に基づく記述であり、 私自身も同様の効果を実感しています。

【漏谷の場所】

足の内くるぶしから、すねの骨(脛骨)の内側に沿って6寸上がったところにあります。
3寸は、人差し指から小指の幅になるので、その倍の長さです。


孔最(こうさい)——昔から知られる痔の特効穴

手の太陰肺経の流れを示す人体図

孔最は、古くから「痔の特効穴」として鍼灸の世界で広く知られているツボです。

孔最が痔に効く理由は、肺と大腸の表裏関係にあります。
孔最は肺の経絡(手の太陰肺経)上にあり、東洋医学では肺と大腸は表裏の関係にあると考えられています。

つまり、肺経のツボである孔最に働きかけることで、大腸・肛門の症状にアプローチできるのです。

さらに孔最は、郄穴(げきけつ)という性質を持ちます。

郄穴とは、
気血が深く集まる場所であり、急性症状や出血など「急を要する症状」に特に効果を発揮するとされています。

痔の急な出血に孔最が使われてきた理由は、ここにあります。

臨床でよく経験するのですが、痔でお悩みの方の孔最を触ると、グリグリと硬くなっていることがあります。

硬結がある場所は、そのツボが反応しているサインです。

孔最の位置を示す人体図

【孔最の場所】

  1. 手の平を天井に向けます。
  2. 肘を曲げ伸ばしをする際に現れる線上に尺沢があります。このツボは、上腕二頭筋腱の外側にあります。
  3. 尺沢から手首に向かい、3寸(人差し指から小指の幅)の所に孔最があります。

ツボの使い方と注意点

指圧の場合

  • 強く押しすぎず、じんわりと圧をかける
  • 1〜2分で完了するくらいの刺激で十分
  • 硬さやコリを感じる場所を丁寧に押す

お灸の場合

台座灸を手に載せている
  • 市販の台座灸(せんねん灸など)から始めると安心
  • 熱さを我慢しない。熱く感じたらすぐに取り外す
  • 最初は1壮から試してください

台座灸のやり方


よくある質問

Q. 漏谷はどこにありますか?
足の内くるぶしから、すねの骨(脛骨)の内側に沿って6寸上がったところにあります。
3寸は、人差し指から小指の幅になるので、その倍の長さです。

Q. 孔最はなぜ痔に効くのですか?
肺と大腸は表裏の関係にあるため、肺経上の孔最に働きかけることで肛門の症状にアプローチできます。また郄穴という性質から、出血など急性症状に特に効果を発揮します。

Q. 漏谷と孔最、両方やる必要がありますか?
長野潔先生の著書でも2つの併用が示されています。両方アプローチするのが理想です。

Q. 痔の出血はツボだけで止まりますか?
肛門の痛みや出血が続く場合は、必ず病院で検査を受けてください。
痔以外の疾患が隠れていることもあります。ツボケアはあくまで補助的なものです。


痔の出血でお悩みの方へ

手を広げ立つ院長

ツボを試してみたけれど改善しない・自分でどこを押せばいいかわからない、 という方は、一度ご来院ください。

当院では、痔の出血に関わる「脾」の状態を、腹診・脈診を用いて確認した上で施術を行います。
痔そのものだけでなく、消化器の不調・めまい・疲れやすさなど、 脾の統血作用の低下に関わる症状をお持ちの方も対応しています。

施術をご希望の方は、「ご利用の流れをご覧ください。

おかだ鍼灸院(埼玉県幸手市)
自律神経失調症・妊活・慢性症状を専門とする鍼灸院です。


▶痔の鍼灸治療について詳しくは「痔の鍼灸治療」をご覧ください。

おかだ鍼灸院 院長。

東洋医学(脈診・腹診)を中心に、
自律神経の不調や不妊(妊活)のお悩みを
26年以上臨床でサポートしています。

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