【記事改定日】2026年6月3日
【筆者】岡田匡史(国家資格・鍼灸師)
不妊治療で採卵をした後、下腹部の痛みがなかなか引かない。
そのような経験はありませんか。
ここでは、私(鍼灸師)が実際に採卵後の腹痛に使ったツボ「商丘(しょうきゅう)」についてご紹介します。
採卵後に「左の下腹部が痛い」と来院された方

不妊で鍼灸院に来られている方から、「採卵をしてからずっと左の下腹部が痛い」とお聞きしました。
その方のお腹を指で軽く押してみると、
お臍の左斜め下(中注・大巨・水道)に痛みが出ていました。また、その付近は痛みの影響で硬くなっていました。
腹診で考えると、この場所は「腎」・「血液の滞り(瘀血)」・「卵巣や子宮」の反応が出てくる場所です。
なお、ここでいう「腎」は、西洋医学の腎臓そのものではなく、東洋医学でいう体の土台や生殖に関わる働きのことです。
まず腎の反応を取ろうと思い、腎経のツボを使ったところ、「痛みが強くなる」とお聞きしました。
そのため、足の触診を詳しく行うと、「足の太陰脾経」と呼ばれる経絡上に強い反応がありました。
そのツボが「陰陵泉(いんりょうせん)」と「商丘(しょうきゅう)」です。
採卵後の腹痛に効いたツボ「商丘」とは

以前、生理痛の方に「商丘」へお灸をしたところ、施術中に痛みが緩和し「お腹が楽になりました」と言われたことがありました。
この採卵後の女性の腹痛にも同じツボが関係しているのではないかと思い、お灸をしました。すると、腹痛が楽になったそうです。
東洋医学では、
足の太陰脾経が下腹部や婦人科系の不調と関係が深い経絡として考えられています。
子宮や卵巣の周辺に負担がかかっているとき、この経絡上のツボに反応が出ることがあります。

長野式を創始考案された故・長野潔先生の著書(鍼灸臨床 新治療法の探求)にも、商丘は足関節炎やリウマチ、捻挫、鼠経ヘルニアのほか、子宮内膜炎・卵巣炎・卵管炎・膣炎など婦人科疾患領域にも用いられる、という趣旨の記載があります。
このことからも、商丘は足首だけのツボではなく、下腹部や婦人科系の反応と関係することがあると考えています。
ツボ「商丘」の見つけ方

商丘は足首の内側にあります。
足首の内側を見ると、出っ張っている骨(内くるぶし)があります。
この斜め下の凹みが「商丘(しょうきゅう)」です。
採卵後の腹痛にこのツボが関係しているかどうかは、指で押してみて圧痛があるかどうかで見分けられます。
押してもまったく痛くない場合は、その腹痛に対して商丘が合わないこともあります。
一方で、押して痛みがある場合は、商丘が腹部の反応と関係している可能性があります。
商丘へのお灸のやり方

商丘に圧痛がある場合は、お灸をすることで腹痛の緩和につながることがあります。
ポイントは、もぐさを捻って行う透熱灸(とうねつきゅう)を行うことです。
痛みの変化を確認しながら、11壮から21壮ほど行います。
透熱灸は、小さなヤケドになることが多いお灸です。
ヤケドの痕を残したくない方は、
紫雲膏(しうんこう)をツボの下に多めに塗ったり、8分目までもぐさが燃えたら指で消したりするとよいでしょう。
妊活と鍼灸の考え方については、こちらもあわせてご覧ください。
▶ 不妊・妊活専門ページ
血液の滞り(瘀血)について詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてください。
▶ 瘀血と鍼灸
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