【記事改定日】2026.8.26
【筆者】岡田匡史(国家資格・鍼灸師)
自律神経失調症で鍼灸院に行ってみたいけれど、
「どんな検査をするの?」
「どこに鍼をするの?」
「自律神経の状態は、どうやって確認するの?」
このような疑問を持っている方もいらっしゃると思います。
以前、鍼灸院に来られた方からも、
「自律神経失調症の鍼灸治療って、どんなことをするんですか?」
と質問を受けたことがあります。
今回は、当院で自律神経失調症の方を施術するときに、どのようなところを確認しているのかをご紹介します。
まずは現在の症状や生活状況を詳しくお聞きします

体調不良で病院へ行くと、診察を受けたうえで、
- 血液検査
- レントゲン
- エコー
- 胃カメラ
- 心電図
など、その人に必要な検査を行い、原因に応じて治療が行われると思います。
鍼灸治療でも、いきなり鍼をするわけではありません。
当院では、初めて来られた方に問診表へ記入していただきます。
- どのような不調があるのか?
- いつから始まったのか?
- 病院で治療を受けているのか?
- どのような薬を服用しているのか?
- 今までに、どのような病気・ケガをしたのか?
などを確認します。
そして、問診表をもとに「身体の状態」や「日常生活の状況」について詳しくお聞きし、不調との関連を探っていきます。
そのうえで、
- 腹診(ふくしん)
- 脈診(みゃくしん)
- ツボの反応
など、東洋医学の考え方に基づいた身体の確認を行います。
※腹診について詳しく知りたい方は、「腹診はあなたの不調を解き明かす」をご覧ください。
私(鍼灸師)は、こうした問診と身体の反応を総合して、
- 免疫(口蓋扁桃/上咽頭)
- 血流(瘀血)
- 自律神経
- ホルモン
- 五臓(肝・心・脾・肺・腎)
など、どこに負担がかかっているのかを考えながら施術方針を決めています。
自律神経の働きが関係していると考えた場合は、自律神経と関わりのあるツボを選び、鍼やお灸を行います。
問診表にたくさんの症状が書かれていることがあります

これまで「自律神経失調症」「不安の強い方」「うつ気味の方」などで来院された方の問診表を見ていると、特徴的な記入の仕方をしていることがあります。
当院の問診表には、
「ご自身の体質に当てはまるものにすべて〇をつけてください」という項目があります。
その欄に、たくさん〇が付いている方がいらっしゃいます。
例えば、
- めまい
- 肩こり
- 頭痛
- 食欲がない
- 息苦しい
- 耳鳴り
- 動悸
- 手足が冷える
- 不眠
- 下痢
などです。
問診表を見て、
「こんなにたくさん不調があるの?」と思うこともあります。
なぜ、このようにいろいろな症状が同時に現れるのでしょうか?
自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」があります。
車に例えるなら、
交感神経が「アクセル」
副交感神経が「ブレーキ」
のようなものです。
肉体的・精神的なストレスなどによって交感神経の働きが強くなっていると、動悸を感じたり、胃腸の働きが低下して食欲が落ちたりすることがあります。
交感神経の緊張は血管の収縮や筋肉のこわばりにも関わるため、動悸や食欲不振に加えて肩こりなど複数の不調が重なって現れることがあります。
そのため私は、症状を一つだけ見るのではなく、「どのような症状がいくつ重なっているのか」というところも確認しています。
脈の状態も確認します

東洋医学では、脈の状態も身体を確認するための大切な情報の一つです。
例えば、マラソンをしたり、自転車で走ったりすると脈拍が速くなります。
これは運動によって交感神経の働きが高まっているためです。
一方で、身体を安静にしているにもかかわらず、脈拍が速い方もいらっしゃいます。
ただし、
脈拍が速い=自律神経失調症
というわけではありません。
脈が速くなる理由には、
- 発熱
- 甲状腺の病気
- 貧血
- 運動直後
など、さまざまなものがあります。
また、東洋医学の脈診では、「ピンピン」と張りつめたような脈や、琴の弦を弾いたような脈に触れることがあります。
こうした脈は「緊脈(きんみゃく)」「弦脈(げんみゃく)」と呼ばれます。
私(鍼灸師)は、脈だけで判断するのではなく、問診や腹診、身体の反応などと合わせて施術方針を考えています。
お腹の状態も確認します

脈と同じように、私はお腹の状態も確認します。
これを腹診(ふくしん)といいます。
健康な方のお腹に触れると、適度な弾力があり柔らかく感じます。
例えるなら、蒸かしたての饅頭のようなお腹です。
一方、体調を崩している方では、
- 力のないお腹
- 硬いところがある
- 全体的に緊張している
など、さまざまな反応を感じることがあります。
自律神経の不調を訴えて来院される方を診ていると、私は特に次のような反応に気付くことがあります。
- 軽くお腹を押しただけでも、いろいろな場所に痛みを感じる
- お腹の筋肉がピンと張っている
- みぞおちが硬くなっている
- お腹で動脈の拍動を強く感じる
もちろん、これらの反応だけで自律神経失調症と判断するわけではありません。
私は、問診や脈診、そのほかの身体の反応と合わせて確認しています。
みぞおちの硬さについて

東洋医学では、みぞおち付近の反応を「心(しん)」との関係から見ることがあります。
ここでいう「心」は、心臓という臓器だけを意味するものではありません。
東洋医学では、精神活動とも関係する機能的な概念として考えます。
そのため私は、みぞおちに強い緊張がある場合、精神的なストレスなども含めて身体の状態を確認するようにしています。
腹診について詳しく知りたい方は、「腹診はあなたの不調を解き明かす」をご覧ください。
背中の筋肉や背骨周辺の反応も確認します

うつ伏せになっていただくと、背中から腰にかけて筋肉が盛り上がるように緊張している方がいます。
私(鍼灸師)は、このような背中の緊張も施術を考えるうえで確認しています。
『鍼灸臨床 新治療法の探求』(医道の日本社)でも、脊柱起立筋の緊張と交感神経の緊張との関連について述べられています。
また、
- 食欲がない
- 動悸がする
- めまいがする
- 息苦しい
- 眠れない
など、さまざまな症状を訴えている方の中には、背骨周辺を押すと強く痛みを感じる方がいます。
特に両方の肩甲骨の間に反応が出ていることがあります。
強い方では、背骨に沿って押していくと、上から下まで
「そこも痛いです」「そこも痛いです」
と、広い範囲で痛みを感じることがあります。
私は、このような背中の筋肉のこわばりや刺激への敏感さも、心身に負担がかかっているサインの一つとして見ています。
猫が怒っているとき、背中の毛を立てている姿を見たことがあると思います。
そのときの猫は、リラックスしているというより、いつでも動ける臨戦態勢です。
人間の場合も、精神的・肉体的な緊張が続いていると、背中の筋肉が硬くなっていることがあります。
施術を続ける中で、こうした背中の緊張が少しずつ緩んでくる方もいらっしゃいます。
私(鍼灸師)は、症状だけではなく、このような身体の変化も確認しながら施術を進めています。
自律神経失調症の施術では、刺激を強くしすぎないようにしています

私が、自律神経失調症で来られた方を施術するときに注意していることがあります。
それは、
なるべく強い痛みを感じさせないこと
です。
自律神経の不調を訴える方の中には、身体への刺激に敏感になっている方がいます。
ほかの方では気にならない程度の刺激でも、強く感じてしまうことがあります。
そのため当院では、自律神経失調症の方に対して、最初から強い刺激を加えることはしていません。
私は主に、
- 細い鍼
- 浅い鍼
- 温かいお灸
などを使い、その方の身体の反応を確認しながら刺激量を調整しています。
「強く刺激すれば、そのぶん効果が高くなる」
とは考えていません。
私自身、これまで施術をしてきた経験から、自律神経の不調を訴える方では、強い刺激よりも、その方が無理なく受けられる刺激量に調整することが大切だと感じています。
まとめ

自律神経失調症の鍼灸治療では、単に「自律神経に良いツボ」に鍼をするだけではありません。
当院では、
- 現在の症状
- 症状が始まった時期
- 病院での治療状況
- 服用している薬
- これまでの病歴
- 脈の状態
- お腹の状態
- 背中やツボの反応
などを確認します。
そのうえで、身体のどこに負担がかかっているのかを考えながら、その方に合ったツボと刺激量を選んでいます。
自律神経失調症に対する当院の考え方や施術については、こちらのページでも詳しくご紹介しています。
おかだ鍼灸院には、埼玉県幸手市を中心に久喜市・加須市・杉戸町などからも来院されています。
施術をご希望の方は、ご利用の流れをご覧ください。


