【記事改定日】2026.9.16
【筆者】岡田匡史(国家資格・鍼灸師)
- お尻から太ももの後ろが痛い。
- ふくらはぎまでしびれる。
- 立ち上がる時に、お尻から足にかけて痛みが走る。
このような坐骨神経痛でお困りの方もいらっしゃると思います。
坐骨神経痛は病名ではなく、坐骨神経に沿って、お尻・太ももの後ろ・ふくらはぎなどに痛みやしびれが現れる症状の総称です。
原因には、
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰部脊柱管狭窄症
- 腰椎すべり症
- 梨状筋症候群
などがあります。
今回は、私(鍼灸師)が坐骨神経痛の方に実際に使うことのあるツボの中から、
- 跗陽(ふよう)
- 大腸兪(だいちょうゆ)
- 殿圧(でんあつ)
- 殷門(いんもん)
- 委中(いちゅう)
の5つをご紹介します。
坐骨神経痛で「跗陽」をよく使う理由

坐骨神経痛の方を施術する中で、私(鍼灸師)が「このツボは良く効くな」と感じることがあるのが、跗陽(ふよう)です。
以前、腰椎すべり症があり、
「立ち上がると、お尻から太ももに激しい痛みが走る」
という方が来院されました。
そこで、足首の近くにある跗陽に透熱灸を31壮ほど行いました。
すると、お尻や太ももには直接触れていないにもかかわらず、立ち上がった時の痛みが急に楽になったことがありました。
もちろん、すべての方に同じ変化が起こるわけではありません。
あくまで、私(鍼灸師)が実際に施術した中で経験した一例です。
また、慢性の腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛がある方にも、跗陽を使ったことがあります。
この方には、自宅で毎日、台座灸をしてもらいました。
約2か月続けてもらったところ、痛みやしびれが減り、日常生活が楽に過ごせるようになりました。
※鍼灸による変化には個人差があります。
『首藤傳明症例集』(医道の日本社)にも、跗陽は腰や下肢の痛みに用いられるツボとして記載されています。
私自身の臨床経験からも、坐骨神経痛に使うことの多いツボの一つです。
坐骨神経痛を和らげる5つのツボ
① 跗陽(ふよう)

跗陽は、足首の外側にあるツボです。
外くるぶしから上に3寸ほど上がった、アキレス腱の外側付近にあります。
3寸は、ご自身の指4本分くらいが目安です。
周辺を軽く押して、痛みや圧痛がある場合に、私(鍼灸師)は跗陽を使うことがあります。
ただし、
「押して痛ければ、そこが坐骨神経痛の原因」という意味ではありません。
ツボを選ぶ時の一つの目安として確認します。
跗陽の探し方
- 外くるぶしを確認します
- そこから上へ指4本分ほど進みます
- アキレス腱の外側付近を軽く押します
強く押す必要はありません。
周囲と比べて、押した時に少し痛みを感じるところがあるか確認してみてください。
【参考】
『鍼灸治療基礎学』(医道の日本社)では、跗陽は坐骨神経痛に用いられるツボとして紹介されています。
② 大腸兪(だいちょうゆ)

大腸兪は、腰にあるツボです。
第4腰椎と第5腰椎の間の高さから、左右へ1寸5分離れた場所にあります。
腰椎の4番と5番の高さは、左右の骨盤の上端を結んだ線が一つの目安になります。
1寸5分は、
親指1本分+親指半分くらいの幅
が目安です。
大腸兪は、腰痛や坐骨神経痛など、腰から足にかけての症状で使われることがあります。
ただし、自分では位置を確認しにくいツボです。
無理な姿勢で自分でお灸をすることは避けてください。
【参考】
『鍼灸治療基礎学』(医道の日本社)では、大腸兪は腰痛・椎間板ヘルニア・変形性腰椎症・坐骨神経痛などに用いられるツボとして記載されています。
③ 殿圧(でんあつ)

殿圧は、お尻にあるツボです。
骨盤の後ろにある上後腸骨棘(じょうこうちょうこつきょく)と、股関節の外側にある大転子(だいてんし)を結んだ、おおよそ中央付近にあります。
この付近には、梨状筋(りじょうきん)という筋肉があります。
坐骨神経は梨状筋の近くを通っています。
梨状筋周辺の緊張などによって、坐骨神経が刺激され、お尻から足にかけて痛みやしびれが現れることがあります。
私(鍼灸師)は、お尻の筋肉の緊張や圧痛を確認しながら、このツボを使用することがあります。
【参考】
『超旋刺と臨床のツボ』(医道の日本社)では、殿圧は坐骨神経痛や梨状筋症候群に使用するツボとして紹介されています。
④ 殷門(いんもん)

殷門は、太ももの後ろ側にあるツボです。
お尻と膝裏の間で、太ももの後面中央付近にあります。
この付近は、坐骨神経が通る場所です。
坐骨神経痛の方を診ていると、殷門周辺を押した時に痛みを感じる方もいます。
ただし、
痛いほど強く押せば良いというものではありません。
指で軽く押して、周囲との違いを確認する程度で十分です。
【参考】
『鍼灸治療基礎学』(医道の日本社)では、殷門は坐骨神経痛に用いられるツボとして紹介されています。
⑤ 委中(いちゅう)

委中は、膝の裏側の中央にあるツボです。
この付近には、坐骨神経から分かれた脛骨神経(けいこつしんけい)などが通っています。
腰痛や坐骨神経痛の方では、委中周辺を押すと痛みを感じることがあります。
ただし、膝の裏は神経や血管が通る敏感な場所です。
強く押さないようにしてください。
軽く押して確認する程度で十分です。
【参考】
『鍼灸治療基礎学』(医道の日本社)では、委中は坐骨神経痛や腰痛などに用いられるツボとして記載されています。
自宅でお灸をする場合

自宅でお灸をする場合、初めての方は直接皮膚にもぐさを置く透熱灸ではなく、市販の台座灸の方が使いやすいと思います。
ツボの周辺を軽く押してみて、
「硬くなっている」
「痛気持ち良い」
という感覚があれば、その付近に台座灸を1個から行ってみてください。
熱さを我慢する必要はありません。
熱いと感じたら、すぐに取り外してください。
また、
- 皮膚の感覚が低下している
- 赤みや炎症がある
- 傷がある
- 自分で確認しにくい場所
には、無理にお灸をしないようにしてください。
腰やお尻など、自分では見えにくい場所へのお灸は、特にやけどに注意が必要です。
坐骨神経痛はツボが全員同じとは限りません

坐骨神経痛といっても、原因や症状の出方は一人ひとり異なります。
例えば、
- お尻が強く痛む方
- 太ももの後ろが痛む方
- ふくらはぎまでしびれる方
- 歩くと痛くなる方
- 座っていると痛くなる方
など、症状の現れ方はさまざまです。
そのため、
「坐骨神経痛なら、このツボだけを使えば良い」
というわけではありません。
跗陽が良く効く方もいれば、大腸兪や殷門など、別のツボを使った方が良い場合もあります。
私(鍼灸師)は、痛みのある場所だけを見るのではなく、腰・お尻・太もも・ふくらはぎなどを確認しながら、その方に合ったツボを選ぶことを大切にしています。
このような症状がある場合は医療機関へ
坐骨神経痛のような症状でも、早めに医療機関を受診した方がよい場合があります。
例えば、
- 足に力が入りにくくなってきた
- 足の麻痺が強くなっている
- しびれが急速に広がっている
- 排尿や排便がしにくい
- 股の周囲の感覚がおかしい
- 強い痛みが急激に悪化している
などの場合です。
このような症状がある場合は、ツボやお灸によるセルフケアを続けるのではなく、医療機関で原因を確認してください。
よくある質問

坐骨神経痛には跗陽だけにお灸をすればよいですか?
跗陽だけとは限りません。
私(鍼灸師)は、跗陽を押した時の状態や、腰・お尻・太ももなどを確認してツボを選びます。
跗陽を使わず、別のツボを使うこともあります。
ツボは痛いほど強く押した方が良いですか?
強く押す必要はありません。
特に膝裏にある委中などは敏感な場所なので、軽く押して確認する程度にしてください。
お灸は毎日やっても良いですか?
台座灸を使用する場合でも、皮膚の状態を確認しながら行ってください。
赤み・ヒリヒリ感・水ぶくれなどがある場合は中止してください。
たくさんお灸をすれば、それだけ早く良くなるというものではありません。
坐骨神経痛はツボで治りますか?
坐骨神経痛の原因は一つではありません。
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症・梨状筋症候群などが原因となっている場合もあります。
そのため、ツボへの刺激だけで原因そのものが解決するとは限りません。
症状が長く続いている場合や、徐々に悪化している場合は、原因を確認することも大切です。
まとめ
坐骨神経痛に対して、私(鍼灸師)が使うことのあるツボは、
- 跗陽
- 大腸兪
- 殿圧
- 殷門
- 委中
の5つです。
中でも跗陽は、これまで坐骨神経痛の方を施術してきた中で、「良く効くな」と感じることがあるツボです。
ただし、坐骨神経痛の原因や症状の出方は一人ひとり異なります。
私(鍼灸師)は、「坐骨神経痛だからこのツボ」と決めるのではなく、実際に体を確認して、その方に合ったツボを選ぶことが大切だと考えています。
坐骨神経痛に対する当院の施術については、以下のページもご覧ください。
▶坐骨神経痛の鍼灸治療
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