【記事改定日】2026年6月30日
【筆者】岡田匡史(国家資格・鍼灸師)
少し食べただけで胃もたれがする。
食べられない状態が続き、体重が何㎏も減ってしまった。
病院で検査をしても、はっきりした異常が見つからない・・・。
鍼灸院に来られる方の中には、このようなお話をされる方がいます。
このような方は、病院で「機能性ディスペプシア」と診断されていることがあります。
今回は、機能性ディスペプシアによる胃もたれや食べ過ぎによる胃もたれに対して、私(鍼灸師)が実際に使ってきたツボをご紹介します。
機能性ディスペプシアとは?

機能性ディスペプシアとは、次のように説明されています。
症状の原因となる明らかな異常がないのに、慢性的にみぞおちの痛み(心窩部痛)や胃もたれなどのディスペプシア症状を呈する病気。
薬を服用し続けていても効果を感じられず、
東洋医学(鍼灸)に興味を持って来院される方がいます。
その年代は、学生から大人・ご年配の方まで様々です。
機能性ディスペプシアと鍼灸

実は、このような症状で悩んでいた方は昔からいました。
以前は、胃アトニー・胃下垂・神経性胃炎などと言われていたものです。
昭和に活躍していた鍼灸の先生の著書にも、胃アトニーや胃下垂でお困りの方が鍼灸で改善された症例が記されています。
参考文献:針灸治療の実際・上巻(創元社)1966年12月1日発行
このことからも、機能性ディスペプシアによる胃もたれは、東洋医学(鍼灸)の得意分野の一つだと考えています。
ただし、実際の経験から言うと、慢性化したものは数回の施術ですぐに改善するものではありません。
鍼灸治療に興味のある方は、
「薬で改善しない機能性ディスペプシアの鍼灸治療」もご覧ください。
お灸をするなら最低3ヵ月続ける理由

慢性的な胃もたれや食欲不振の方を診ていると、
すぐに大きく変化する方ばかりではありません。
根気よく3ヵ月・半年・1年と続けていく中で、だんだん食べられるようになり、減ってしまった体重も増えていく方をみています。
そのため、胃もたれに対してお灸を行う場合は、最低でも3ヵ月は続けてみることが大切だと考えています。
胃もたれに効いたツボ

ここからは、私(鍼灸師)が機能性ディスペプシアや食べ過ぎによる胃もたれに使ってきたツボをご紹介します。
足三里(あしさんり)
足三里は、脛(すね)にあるツボです。
私がこのツボを使うのは、足がだるく脛の筋肉が張っていて、食欲がない方です。
なぜかというと、この脛には「足の陽明胃経(ようめいいけい)」と呼ばれる経絡が通っています。
胃経という名のとおり、この経絡は胃につながっていると考えられています。
そのため、胃の不調があると気血の流れが悪くなり、足のだるさとして現れることがあります。
足三里の見つけ方

膝のお皿の下に太いスジ(大腿四頭筋腱)が見えます。
このスジの外側に「外膝眼(がいしつがん)」というツボがあります。
そこから3寸下(人差し指〜小指の幅)が足三里です。
足三里の主治
諸種の慢性病及び消化器疾患を主る。胃痙攣・胃炎・胃アトニー・胃下垂症等の胃疾患より、神経衰弱・ヒステリー・神経症〜(略)其他慢性病の一切に効く
参考文献:鍼灸治療基礎学(医道の日本社)
膈兪(かくゆ)

膈兪は、両方の肩甲骨の下端を結んだライン上にあるツボです。
肩甲骨下端のラインと正中線が交わる箇所(第7・第8胸椎間)から、1寸5分離れた場所にあります。
※1寸は親指の太さ。1寸5分は親指の幅+その半分の幅。
ツボに反応が出ている方は、グリグリと硬くなっていることがあります。
私がこのツボを使うのは、瘀血(おけつ)がある方です。
膈兪はもともと「血会(けつえ)」と呼ばれ、血のトラブルで不調が出ているときに用います。
瘀血は、消化器系のトラブルを起こすことがあります。
そのため、胃もたれを起こしている方に膈兪の反応が出ていることをよくみかけます。
▶ 瘀血について知りたい方は、「瘀血と鍼灸治療」をご覧ください。
また、膈兪は「胃の六つ灸」の一つです。
昔から胃腸の不調のときに使われてきたツボです。
膈兪の主治
肋膜炎・肺門腺結核・胃酸過多症・空腹時痛・ムネヤケ・胃潰瘍・食道狭窄・幽門狭窄・胃アトニー・胃下垂症・胃神経症・神経衰弱・ヒステリー・気管支炎等を治する。
参考文献:鍼灸治療基礎学(医道の日本社)
肝兪(かんゆ)

肝兪は、第9・第10胸椎間から1寸5分離れた場所にあります。
このツボは、肝の働きを整えるツボです。
肝臓は胆汁を生成する臓器であり、胆汁は小腸での脂肪の消化・吸収を助ける働きがあります。
また、肝兪も「胃の六つ灸」の一つです。
そのため、胃疾患に使われてきたことがうなずけます。
肝兪の主治
胃痙攣(神経性胃痛)・慢性の胃弱・黄疸等の胃・肝臓疾患に効く。
参考文献:図解鍼灸実用経穴学(医道の日本社)
脾兪(ひゆ)

脾兪は、第11・第12胸椎間から1寸5分離れた場所にあります。
東洋医学でいう脾(ひ)は、食べたものを消化吸収してエネルギーにする働きと関係します。
▶[参考:東洋医学で考える脾について]
※ここでいう脾は、西洋医学の脾臓とは異なる概念です。
この脾が弱ってくると、
食欲がなくなる・だるくなる・肌肉が痩せてくるといった変化が現れることがあります。
そのため、胃もたれがある方を診ていると、脾兪に反応が出ていることをよくみかけます。
また、脾兪も「胃の六つ灸」の一つです。
昔から胃疾患に使われてきたツボです。
脾兪の主治
胃痛・胃炎・胃痙攣・胃潰瘍・胃アトニー・胃下垂症・消化不良・食欲不振等の胃疾患を主る。
参考文献:鍼灸治療基礎学(医道の日本社)
お灸のやり方

初めての方には、台座灸(だいざきゅう)と呼ばれるタイプがおすすめです。
台座灸は下に両面テープが貼ってあり、シールを剥がすとツボにピッタリ貼り付きます。
火のついたお灸が落ちる心配がなく、もぐさが直接皮膚に触れないため火傷もしにくく、温かくて気持ちのよいタイプです。

昔ながらの本格的なお灸をやってみたい方は、透熱灸のやり方をご覧ください。
まとめ

機能性ディスペプシアによる胃もたれは、
検査で異常が見つからなくても、つらい状態が続くことがあります。
私(鍼灸師)の経験では、胃もたれや食欲不振の方に、足三里・膈兪・肝兪・脾兪などのツボを使うことがあります。
慢性化した胃もたれは、数回で大きく変わるとは限りません。
お灸を行う場合も、最低3ヵ月は続けてみることが大切だと考えています。
埼玉県幸手市のおかだ鍼灸院では、脈診・腹診・舌診・ツボなどの反応から適切なツボを選び施術を行っております。
施術をご希望の方は、ご利用の流れをご覧ください。


