【記事改定日】2026年6月17日
【筆者】岡田匡史(国家資格・鍼灸師)
以前、初めて当院に来られた方に施術していると「えっ、鍼をしてすぐに抜くんですか?」と言われました。
その方は、他の鍼灸院で受けたことがあったようで、鍼をしたらしばらく置鍼(刺しっぱなし)にするものだと思っていたそうです。
確かに、他の鍼灸院では、しばらく置鍼をしてから他の患者さんの施術にあたるところもあります。
そうする事で、
一人で大勢の患者さんをみることができるからです。
また、患者さんによっては、長く治療を受けたという「満足感」が高くなることもあります。
しかし東洋医学(鍼灸)では、
脈拍の速い人は「速く刺して速く抜く」、脈が遅い人は「留めておく(置鍼)」といった法則があります。
これを無視すると、かえって調子が悪くなる方が出てきます。
鍼灸書籍『経絡治療のすすめ』(医道の日本社)にも、次のように記されています。
浮いた脈の時に深く刺したり、速い脈の時に置鍼すると、患者は気分が悪くなり、来なくなる。
鍼は恐ろしいと経験するのはこういう患者で、浮いた脈のときに正しく接触鍼や浅刺をするとパッと治り、大の鍼信奉者となるのであるから、如何に脈状を判定するのが大切かが分かる
このような理由から、
私が置鍼するのは「脈拍が遅く、沈んでいるような時」です。
のぼせと置鍼について
自律神経の不調の方に「頭(百会)に鍼をしてほしい」と、頼まれた事があります。
この方は、数年前に他院で百会の置鍼をしてもらった事があるそうです。
当院でも、置鍼してもらいたかったようですが、この方はのぼせが強かったので断ったことがあります。
なぜ私は百会の置鍼を断ったのか?

その理由は、置鍼すると気血が集まってくる作用があるからです。
のぼせが強く足が冷えている方に「百会(頭のてっぺん)」へ置鍼すると、かえってのぼせが強くなることがあります。
これは、頭頂部に鍼を留めることで、気血が集まってくるためです。
数年前は、のぼせがなかったので置鍼をしても大丈夫だったのだと思われます。
このような場合は、
足のツボに鍼をして気血を下方に誘導したり、頭部から気を抜く(鍼を刺したあと鍼孔を閉じずに抜く)ような施術をすると、スッキリすることが多いです。
後頭部が熱くなった患者さんの例

以前、後頭部にアイスノンを当てながら来られた方がいました。
後頭部が熱くなって気持ちが悪く、いつも冷やしているとのことでした。
まさにのぼせている状態です。
足のツボに鍼をして熱を下方に引っ張り、後頭部の気を抜いてあげると、帰りはアイスノンで冷やさなくても大丈夫になりました。
このように、私の場合は体の状態によって、置鍼するかすぐに抜くかを使い分けています。
体調不良で施術を希望の方は、「ご利用の流れ」をご覧ください。

