鍼治療は神経に刺すの?|鍼灸の仕組みをわかりやすく解説

顎に手を当て首をかしげる女性 東洋医学の基本

【記事改定日】2026年4月27日
【筆者】岡田匡史(国家資格・鍼灸師)

鍼治療に興味はあるけれど、

「鍼って神経に刺すの?」
「ズーンと響く感じは、神経に当たっているの?」
「ピリッとした痛みが出るのは大丈夫なの?」

と不安に思われる方もいます。

初めて鍼灸を受ける方にとって、鍼を体に刺すというだけで怖く感じることもあるかもしれません。

結論からいうと、
鍼治療は神経に刺すことを目的にしているわけではありません。

このページでは、鍼治療で感じる「ズーン」という響きや「ピリッ」とした痛み、そして東洋医学で考える鍼治療の仕組みについてお伝えします。


鍼治療は神経に刺しているわけではありません

手を広げ説明する院長

ときどき、初めて鍼灸を受けに来られた方に、

「鍼治療って、神経に刺すんですか?」

と質問を受けることがあります。

実は、鍼治療では神経に刺しているわけではありません。

なぜ神経に刺さないのかというと、嫌な痛みを感じたり、腕の神経である橈骨神経(とうこつしんけい)に強く触れると、しびれや麻痺のような反応を起こす可能性があるからです。

そのため、鍼治療では神経そのものを狙って刺すのではなく、体の反応やツボの状態を確認しながら鍼を行います。


「ズーン」という響きは神経に刺さっているの?

うつ伏せで鍼施術を受けている女性

鍼が筋肉のコリに当たったときに、

「ズーン」
「重だるい」
「奥に響く」

という感覚が出ることがあります。

この感覚があると、

「神経に刺さっているのでは?」

と不安になる方もいます。

ただ、間違えてほしくないのは、この「ズーン」という痛気持ちよい響きは、神経に刺さっている感覚ではないということです。

これは、筋肉の膜である筋膜(きんまく)を通過したときに感じることがあります。

響きの感じ方には個人差がありますが、神経に刺しているわけではありません。


鍼管(しんかん)を使って痛みを軽減しています

手に鍼と鍼管を持つ鍼灸師

鍼を受けたことがある方は知っていると思いますが、鍼を刺すときは、鍼管(しんかん)と呼ばれる管を使います。

これは、鍼を刺すときの痛みを軽減させるための道具です。

鍼灸師は、この鍼管から鍼の頭が少し出ているところを、「チョンチョン」と叩いて鍼を刺していきます。

この鍼管のおかげで、あまり痛みを感じずに鍼治療を受けることができます。


毛穴に当たると「ピリッ」とすることがあります

ときどき毛穴に刺してしまうと、

「ピリッ」

とする痛みを感じることがあります。

これも、神経に刺しているわけではありません。

この痛みは、軽く揉んでいるとすぐに取れてくることが多いです。

強い痛みや不快な違和感がある場合は、我慢する必要はありません。

鍼治療では、刺激の感じ方や体の反応を見ながら刺激量を調整します。


鍼治療は神経に刺していないなら、何をしているの?

経絡の流れを示す図

では、鍼治療が神経に刺しているものではないとしたら、何をしているのでしょうか。

ここで大切になるのが、経絡(けいらく)という考え方です。

東洋医学では、体には12本の正経と8本の奇経と呼ばれる経絡があると考えます。

この経絡は、川のようなもので、

が流れていると考えられています。

そして、この経絡は内臓、つまり東洋医学でいう五臓六腑(ごぞうろっぷ)と関係しています。


五臓六腑とは

五臓のイラスト

東洋医学でいう五臓六腑とは、以下のようなものです。

五臓

六腑

  • 小腸
  • 大腸
  • 膀胱
  • 三焦

※東洋医学でいう五臓六腑は、西洋医学の臓器そのものと完全に同じ意味ではありません。


足のツボで胃が動いた例

胃のイラスト

以前、テレビ番組で、胃下垂による食欲不振の方に、足三里(あしさんり)と呼ばれるツボに鍼を刺す映像を見たことがあります。

そのときに、エコーで観察していると、胃が持ち上がり、活発に動く様子が映し出されていました。

このように、足に刺した鍼が、経絡を通して内臓に変化をもたらすことがあります。

もちろん、すべての方に同じ反応が出るわけではありません。

ただ、東洋医学では、体の離れた場所にあるツボでも、経絡を通して内臓や体全体に関係していると考えます。


経絡の流れを整えるためにツボを使います

小川に水が流れている風景

内臓、つまり五臓六腑に問題が起きると、経絡の流れにも変化が起きると考えます。

例えるなら、川の流れが、

  • 激しくなる
  • 弱くなる
  • よどむ
  • 詰まる

ようなものです。

そこで、鍼灸師は、この経絡の流れを調節するためにツボを使います。

このように鍼治療では、神経に鍼を刺すことを目的としているのではありません。

経絡の流れを整え、五臓六腑のバランスを整えるために行っています。

※東洋医学系の鍼灸院の場合です。


よくある質問

Q. ズーンと響くのは神経に当たっているからですか?

ズーンとした響きは、神経に刺さっている感覚ではありません。

筋肉のコリや筋膜に鍼が届いたときに、響きとして感じることがあります。


Q. ピリッとした痛みが出ることはありますか?

毛穴に当たったときなどに、ピリッとした痛みを感じることがあります。

これも神経に刺しているわけではありません。

軽く揉んでいると、すぐに取れてくることが多いです。


Q. 鍼は深く刺した方が効くのですか?

深く刺せばよいというものではありません。

例えば、
脈が浮いている場合は、浅く鍼を刺します。これは、病が表面にあるからです。
逆に、
脈が沈んでいる場合は、少し深く刺さします。これは、病が奥にあるからです。

Q. 鍼治療はどのような仕組みで体に作用するのですか?

東洋医学では、経絡の流れを整えることで、五臓六腑のバランスを整えると考えます。

痛い場所だけを見るのではなく、ツボや経絡を通して、体全体の状態を確認しながら施術を行います。


まとめ

指をたて説明する院長

鍼治療は、神経に刺すことを目的にしているわけではありません。

「ズーン」という響きは、筋肉のコリや筋膜に鍼が届いたときに感じることがあります。

また、毛穴に当たると「ピリッ」とした痛みを感じることもありますが、これも神経に刺しているわけではありません。

東洋医学では、経絡の流れを整え、五臓六腑のバランスを整えるためにツボを使います。

鍼治療に不安がある方は、まず仕組みを知っておくことで、少し安心して受けやすくなると思います。

来院をご希望の方は、ご予約の流れを以下のページでご確認いただけます。


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おかだ鍼灸院 院長。

東洋医学(脈診・腹診)を中心に、
自律神経の不調や不妊(妊活)のお悩みを
26年以上臨床でサポートしています。

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