このような経験をお持ちの方の中には、慢性上咽頭炎が関係しているケースがあります。このページでは、上咽頭炎の仕組みと、当院での鍼灸治療のアプローチについて解説します。
上咽頭(じょういんとう)とはどこ?

鼻の奥から続く喉の入り口付近に、上咽頭と呼ばれる場所があります。ここは鼻から吸い込んだ空気が気管へ向かう通り道で、表面にはリンパ球(免疫細胞)が豊富に存在しています。
私たちは常に呼吸をしているため、上咽頭は日々、外からのウイルスや細菌にさらされています。
健康な状態でも軽い炎症は起きていますが、体の抵抗力が落ちたとき・風邪をきっかけに、炎症が慢性的に長引くことがあります。
慢性上咽頭炎のきっかけとして、次のようなものが考えられます。
- 風邪などの感染症
- 花粉・黄砂・粉塵などの吸入
- 喫煙
- ストレスや疲労
- 寒冷・低気圧などの気候変化
慢性上咽頭炎が全身の不調を引き起こす3つの理由
① 炎症が周囲へ直接広がる

上咽頭の炎症は、隣接する組織に波及することがあります。「朝起きたら首が回らなくなった」という方の中にも、上咽頭炎が関係していることがあります。
首こり・肩こり・頭痛として現れるケースも少なくありません。
② 炎症物質(サイトカイン)が血流を通じて全身へ

炎症が続くと、免疫細胞からサイトカイン(炎症を促す物質)が放出され、血流に乗って体中に広がります。もともと腎臓・腸・皮膚・関節などにくすぶっていた炎症が、これによって悪化するケースがあります。
たとえば、膝に軽い違和感があった方が、急に強い痛みや腫れを感じるようになる、といった変化が起こることもあります。
③ 自律神経への影響

上咽頭には、舌咽神経・迷走神経という自律神経と密接に関わる神経が集まっています。この部位の慢性的な炎症が自律神経のバランスを乱し、めまい・倦怠感・食欲不振・睡眠の乱れといった症状として現れることがあります。
このような症状は、自律神経の乱れとして現れることもあります。詳しくは「自律神経失調症と鍼灸治療」のページをご覧ください。
慢性上咽頭炎と副腎の関係

呼吸器系(鼻・喉・気管・肺)の慢性的な問題を診ていると、副腎の疲弊が背景にあるケースが少なくないと、臨床上感じています。
副腎は、体の炎症を抑える「コルチゾール(ステロイドホルモン)」を分泌する器官です。
風邪や感染症をきっかけに上咽頭の炎症がなかなか鎮まらない場合、この副腎の分泌機能が低下している可能性が一つの要因として考えられます。
「アドレナル・ファティーグ(副腎疲労)」という概念は医学的に確立されたものではありませんが、ジェームズ・L・ウィルソン著『医者も知らないアドレナル・ファティーグ』には、次のような記述があります。
「気管支炎や肺炎・喘息・副鼻腔炎、他の呼吸器感染の発作によって急に引き起こされることが多い。その逆もまた真で、副腎機能が弱い人は呼吸器の病気にかかりやすい傾向がある。」
これはあくまで一つの考え方ですが、臨床の場では副腎をサポートする視点を取り入れることが、慢性的な炎症への対応として有効なケースがあると感じています。
副腎のケアに関しては「副腎疲労を改善させるツボ」のページもあわせてご覧ください。
鍼灸治療でのアプローチ

東洋医学では、喉・鼻・気管などの呼吸器系の問題は、五臓でいう「肺」と深く関わると考えます。
また、粘膜の炎症には「脾(ひ)」、慢性的な消耗や副腎との関係では「腎(じん)」も関係していると捉えます。
当院では、問診・腹診(お腹の状態を診る東洋医学的診察)・圧痛の確認などを通じて、それぞれの方の状態を丁寧に見立てたうえで、「肺・脾・腎」に関わるツボを中心に鍼灸治療を行っています。
たとえば、以下のような反応点を参考にしています。

魚際(ぎょさい):親指の付け根にあるツボ。喉に炎症がある方に反応が出やすい

臍の右横:軽く押したときに痛みがある場合、呼吸器系の状態を反映していることがある

胸鎖乳突筋(耳の下あたり):慢性上咽頭炎の方に圧痛が出やすい部位
これらのサインをもとに、全身のバランスを整えながら、慢性的な炎症が落ち着きやすい状態づくりをサポートしています。
慢性上咽頭炎のツボについては、以下の動画でも解説しています。
原因がはっきりしない喉の違和感や体調不良が続いている方は、埼玉県幸手市おかだ鍼灸院にお任せください。
当院では、症状の背景を丁寧に読み解きながら治療にあたっています。
関連ページ
参考資料
- 慢性上咽頭炎・日本病巣疾患研究会
- 堀田修著『慢性上咽頭炎を治しなさい』(あさ出版)
- ジェームズ・L・ウィルソン著『医者も知らないアドレナル・ファティーグ』
