【記事投稿日】2026.11.2
【筆者】岡田匡史(国家資格・鍼灸師)
友人から、
「胃酸過多なんだけど、足三里にお灸をしても大丈夫?」
と聞かれました。
足三里は一般の方にもよく知られているツボです。
患者さんからも、
「足三里って万能のツボなんでしょ?」
と聞かれることがあります。
確かに、足三里は鍼灸治療でよく使われるツボの一つです。
ただ、専門家の立場からすると、症状だけを見て、とりあえず足三里にお灸をするという使い方には少し注意が必要だと私は考えています。
胃酸過多の場合、私は足三里を慎重に使います

足三里は、東洋医学では「足の陽明胃経」という胃と関係の深い経絡上にあります。
また、足三里への刺激が胃の運動などに影響を与えることも研究されています。
そのため私の場合、胃酸が多いと訴えている方に対しては、最初から足三里を使うのではなく、まず身体の状態を確認します。
特に、胃の働きが強くなりすぎていると東洋医学的に判断した場合には、足三里への刺激は慎重になります。
「胃酸過多」という言葉だけでは判断しません

ここが、ツボを選ぶうえで大切なところです。
本人が、
「胃もたれや胸やけがするから、胃酸が多いんだと思う」
と考えている場合もあります。
また、西洋医学上の診断と、東洋医学で身体をみた時の状態が、そのまま一致するわけでもありません。
そのため当院では、「胃酸過多」という症状名だけで使用するツボを決めません。
私の場合、まずお腹を診ます。
胃に関連する部分を指腹で軽く圧迫して、痛みや圧痛、硬さなどがないかを確認します。
次に脈を診て、胃に関連する脈の反応が強く出ていないかを確認します。
さらに、胃経上にあるいくつかのツボを触り、圧痛や過敏な反応が出ていないかもみます。
こうした反応が重なっている場合、私は東洋医学的に「胃実」の傾向があると考えます。
このような場合には、胃の働きをさらに刺激する可能性を考え、足三里は使わないことがあります。
反対に、「胃酸が多い」と言われていても、お腹・脈・ツボに強い反応がなく、むしろ虚的な状態だと判断すれば、足三里を使うこともあります。
足三里は「誰にでも同じように使うツボ」ではありません

同じ「胃の症状」でも、身体に出ている反応は人によって違います。
そのため、
「胃が悪いから足三里」
「足三里は万能だから、とりあえずお灸」
というようには考えていません。
一つのツボを使う場合でも、
「今、この人の身体にはどのような反応が出ているのか」
を確認してから選ぶことが大切だと考えています。
これが、当院で脈診や腹診、ツボの反応を確認しながら施術を行っている理由の一つです。
なお、胸やけや酸っぱいものが上がってくる症状、胃痛などが繰り返す場合は、自己判断で「胃酸過多」と決めず、まず医療機関で原因を確認することも大切です。
検査で異常がない胃の不調が続いている方へ
胃もたれ・食欲不振・吐き気・食後の不快感などが続いているのに、胃カメラなどの検査では大きな異常が見つからない場合、「機能性ディスペプシア」と診断されることがあります。
当院での身体の見方や施術については、**「機能性ディスペプシアの鍼灸治療」**のページで詳しく紹介しています。
また、実際に胃もたれ・吐き気・食欲不振などで来院された方の経過については、症例ページにまとめています。
埼玉県幸手市のおかだ鍼灸院では、検査で異常がない胃もたれ・胃痛・食欲不振などの症状に対応しております。
施術を希望の方は、ご利用の流れをご覧ください。


