【記事投稿】2026.10.7
【筆者】岡田匡史(国家資格・鍼灸師)
春頃、頭痛・肩こり・眼精疲労・ドライアイ・右腕のしびれなどで来院された40代の女性がいらっしゃいました。
デスクワークでパソコンを使用することが多く、2年ほど前から眼精疲労を感じるようになり、その後、首こりや肩こりも頻繁に起こるようになったそうです。
最近では、眼精疲労を少しでも楽にしようとホットアイマスクを使用したところ、かえって頭痛が強くなり、その後、右腕のしびれや、足に水をかけられたような不思議な感覚まで現れたとのことでした。
このようなしびれや感覚の異常がある場合は、まず医療機関での診察が大切です。
この方も脳神経外科を受診され、検査では特に異常はなかったとお話しされていました。
頭や肩に軽く触れただけでも強い痛みがありました

施術前に全身の状態を確認していくと、頭のてっぺんにある百会(ひゃくえ)、首にある天牖(てんゆう)、肩の上部にある肩井(けんせい)などに軽く指で触れただけでも、苦悶の表情をされました。
一般的な肩こりであれば、凝っているところを軽く押されると「気持ちいい」と感じる方も多いのですが、この方の場合はそうではありませんでした。
「そこには触ってほしくない」というような、非常に強い反応が出ていたのです。
お腹を触診すると、当院で精神的な緊張や胃腸の状態、血液の滞りなどを見る際に参考にしている場所にも反応がありました。

また、手足のツボにも複数の反応がみられました。
全身を確認していくと、特に肩から頭にかけての上半身に反応が集中していることが分かりました。
あえて頭や肩には鍼をしませんでした

この方は、もともとホットアイマスクで温めた後に頭痛が強くなっています。
さらに、頭や肩に軽く触れただけでも強い痛みがありました。
そのため初回は、
「頭痛があるから頭に鍼をする」
「肩が凝っているから肩に鍼をする」
という施術は、かえって刺激が強すぎる可能性があると考えました。
そこで、あえて痛みのある頭や肩には鍼をせず、手足や腰、骨盤周囲のツボを使って、身体全体の上下のバランスを整えるように施術しました。
その場では大きな変化はありませんでしたが、帰宅後から徐々に頭痛が楽になったと、次回来院時にお話しされました。
痛いところを刺激すればよいとは限りません

その後も身体の状態を確認しながら施術を続けました。
6回目の施術の際には、それまでより反応が落ち着いてきたため、初めて頭や肩など症状のある場所にも施術を行いました。
ところが翌日、かえって頭痛が強くなったそうです。
この経過からも、この方の場合は、頭や肩への刺激に身体が敏感に反応する傾向があったのではないかと考えました。
お話をうかがうと、以前から薬で副反応が出やすいこともあったそうです。
薬への反応と今回の症状を直接結びつけることはできませんが、ホットアイマスクや局所への刺激に対する反応などを含め、身体が刺激に対して敏感になっている可能性を考えながら施術する必要があると感じました。
東洋医学では「上実下虚」としてみることがあります

東洋医学には「上実下虚」という考え方があります。
簡単にいえば、身体の上の方に緊張や反応が集中し、下半身とのバランスが崩れている状態です。
この方は、
・頭痛
・肩こり
・眼精疲労
・ドライアイ
など、上半身に症状が集中していました。
一方で、足には「水をかけられたような感覚」が出ていました。
これらの症状の原因をすべて上実下虚だけで説明することはできませんが、当院では全身をみた時に、上下のバランスが大きく崩れている状態として捉えました。
そのため、上半身を強く刺激するのではなく、手足や腰、骨盤周囲のツボを使いながら、身体全体のバランスをみて施術を行いました。
「痛い場所=鍼をする場所」ではありません

一般の方は、
「頭が痛ければ頭に鍼をする」
「肩が凝っていれば肩に鍼をする」
と考えることが多いと思います。
もちろん、症状が出ている場所に直接施術した方がよい場合もあります。
しかし、26年間鍼灸の臨床を続けていて感じるのは、人の身体はそれほど単純ではないということです。
症状が出ている場所に強い反応がある時には、そこを刺激することで、かえって身体が過敏に反応してしまうこともあります。
そのような場合には、あえて症状のある場所には触れず、手足や腰など離れた場所から身体全体を整えることもあります。
当院では、「どこが痛いのか」だけではなく、脈やお腹、手足のツボ、筋肉の緊張などを確認しながら、その日の身体がどのような状態になっているのかをみて施術することを大切にしています。
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埼玉県幸手市のおかだ鍼灸院では、幸手市を中心に、久喜市・加須市・杉戸町など近隣地域からもご来院いただいています。
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