【記事投稿日】2026.10.5
【筆者】岡田匡史(国家資格・鍼灸師)
先日、眼精疲労と胃の不調を訴えて来院された方がいました。
施術中にお話を伺っていると、
「寝ている時に、足をよくつるんです」
とのことでした。
仰向けでの施術を終え、うつ伏せになってもらったところ、突然、
「足がつりました」
と言われました。
「どこがつりましたか?」
とお聞きすると、ふくらはぎではなく「すねのところ」とのことでした。
すねがつったので、まず筋肉を伸ばしました

足がつった場合、収縮している筋肉をゆっくり伸ばしていくと、次第に落ち着いてくることがあります。(上記画像は足がつった様子)
今回は、すねの前側にある前脛骨筋付近がつっていたため、まずその筋肉を伸ばすように足首を動かしました。
強いつりは落ち着きましたが、しばらくして、
「まだ、つりそうな感じが残っています」
と話されました。
そこで一度座っていただき、今度は背中にあるツボに鍼をしました。
すると、その後、
「すねの引きつる感じが楽になりました」
とのことでした。
そして患者さんから、
「どうして背中に鍼をしたのに、足のつりが楽になったんですか?」
と聞かれました。
東洋医学では、症状が出ている場所だけをみないことがあります

今回すねに症状が出ていた場所は、東洋医学でいう「足の陽明胃経」という経絡が通るところでした。
名前のとおり、胃腸との関係を考える経絡です。
この方は、もともと胃の不調を訴えて来院されていました。
そのため私は、
「すねの筋肉だけの問題ではなく、胃腸の状態も関係しているのではないか?」
と考えました。
背中には、東洋医学で胃と関係するとされるツボがあります。
そこで背中の反応を確認し、関係すると考えたツボに鍼をしました。
患者さんにこのことを説明すると、
「足がつっているのに、胃や背中も関係するんですね」
と少し驚かれていました。
胃の調子が悪いと、必ず足がつるわけではありません

もちろん、胃の調子が悪いから必ず足がつる、ということではありません。
足がつる原因には、筋肉の疲労や水分・電解質の状態、神経など、さまざまなものがあります。
今回も、胃の不調が直接すねの筋肉をつらせたと断定することはできません。
ただ東洋医学では、症状が出ている場所だけではなく、その方が普段訴えている不調や、身体に現れている反応を合わせて考えることがあります。
今回の方は、
このような点が重なっていました。
痛い場所だけに鍼をするとは限りません

「足がつったのだから、足に鍼をする」
と考える方も多いと思います。
しかし当院では、症状が出ている場所だけでなく、脈やお腹、手足や背中のツボの反応などを確認しながら身体全体をみています。
そのため、
「どうしてそこに鍼をするのですか?」
と思われる場所に鍼をすることもあります。
今回の出来事は、東洋医学では身体を部分だけではなく、全体のつながりとしてみることがある、という一例です。
もちろん、すべての足のつりが同じように変化するわけではありません。
足が頻繁につる場合や、しびれ、筋力低下など他の症状を伴う場合には、医療機関で原因を確認することも大切です。
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