鍼治療の効果は、本数・深さ・時間と関係があるの?

鍼治療の動画を見て効果を調べる様子 東洋医学の基本

【記事改定日】2026年2月21日
【筆者】岡田匡史(国家資格・鍼灸師)

鍼灸(東洋医学)に興味を持たれている方ですと、「ユーチューブ」や「ネット」で体中に鍼を刺されている「動画」や「画像」を見た事があると思います。

そのような「動画」や「画像」を見ると、体調不良の方でしたら、

「たくさん鍼を打たれると効きそうだな!」
と思うかもしれません。

また、「鍼治療って痛そうだな?」と思う方もいるでしょう。

初めて、鍼灸院に来られた方の中には、

「何本はりを打ってくれるんですか?」
施術後に「何本はりを打ちましたか?」

と聞く患者さんもおられます。

もしかすると、同じ料金なら、たくさん鍼を打ってもらった方が「お得!」と思っているのかも知れません。

しかし、鍼灸のプロの目からみると、

「たくさん鍼を打った方が効果がある」
「本数が多い方がお得!」

というわけではありません。


鍼治療は、たくさん鍼を刺された方が効果があるの?

鍼治療の本数と効果の関係

例えば、薬で考えた場合、たくさん飲めば効果があるというわけではありませんよね。

適量を守らずに多く服用すると、「副作用」を起こし体調不良になる事もあります。

鍼灸でも同じです。

その人・その人に合った、「適量の刺激(本数)」があります。

50本も100本も鍼を打つ必要がありません。

鍼灸(東洋医学)では、「脈」・「お腹」・「舌」・「ツボ」に現れる微妙な異常を察知し、五臓六腑のバランスを整えるのです。

この微妙なバランスを整えるには、たくさんのツボへの刺激は要りません。

かえって、たくさん鍼をするとアンバランスを引き起こし、「お得!」どころの話ではなくなります。

鍼灸治療は、少ない本数で充分な効果を発揮します。また、患者さんへの肉体的な負担も少なくすむのです。

特に、自律神経の乱れによる

・めまい
・動悸
・食欲不振
・頭痛

などをお持ちの方は、刺激量がとても重要です。

強い刺激よりも、体のバランスを整える刺激の方が適している場合が多いのです。


鍼治療の効果は、刺す深さと関係があるの?

鍼の刺す深さと効果の関係

鍼灸治療では、患者さんの体の状態によって「浅く鍼を刺したり」・「深く刺したり」使い分けをします。

使い分けるには、理由があります。

現れている「病」が、表面のものであれば深く刺す必要がなく「浅い鍼」で効果を得る事ができます。

逆に、現れている「病」が深いものであれば、浅い鍼では効果がありません。「深く刺す鍼」が必要です。

例えば、風邪の引き始め。

寒気がしたり・頭痛がしたり・肩が凝ったり・鼻や喉に違和感を感じたりする事があると思います。

このような時に、脈診をすると「浮脈(ふみゃく)」と呼ばれる脈を察知します。

これは、「病が浅いところにありますよ!」と教えてくれます。

このような時には、「浅い鍼」を行うと効果を得るのです。

しかし、風邪をこじらせてしまった方の場合は、「病」が深いところへ移動し「浮脈」を表しません。

症状は、喉の痛み・発熱・咳・胃腸症状などの「深い病」が表れています。

このような時は、やや深めの鍼を行うと効果を得る事ができます。

ただ、どんな体の状態でも深く刺した方が効くと思っている方もいるようです。

しかし、同じ方でも「体の状態」は日々変化しています。

当院では、自律神経の不調や不妊でお悩みの方が多いため、基本的に「浅い鍼」で数ミリ程度の事が多いです。

自律神経が乱れやすい方は、とても敏感な方が多く、深い鍼だと刺激が強くて効果が出にくい場合があります。

浅い鍼の場合は、刺激が弱く「副交感神経」を鼓舞します。いわゆる、「リラックス」できるのです。

そうすると、今まで張りつめていた緊張が緩み、

  • 血流が良くなったり
  • 筋肉の緊張がほぐれたり
  • 内臓の働きが良くなったり
  • 動悸が落ち着いたり

するのです。


鍼治療の効果は、時間と関係があるの?

鍼治療の施術時間と効果の関係

鍼治療は、長く時間をかけて施術をした方が効果があるのかというと、長く時間をかけたからといって効果があるとは限りません。

なぜなら、長い「時間」は、体に与える刺激も強くなり、マイナスになる場合があるからです。

温泉に行って「湯あたり」・「湯疲れ」をした事はありませんか?

長時間入ったり、何度も繰り返し入ることで、

・だるさ
・食欲低下
・下痢
・頭痛
・のぼせ

などを発症する事があります。

また、長時間のマッサージを受けた次の日に「もみ返し」を経験された方もいらっしゃると思います。

これらは、刺激が過剰になったためです。

鍼灸も同じです。

1時間も2時間も長時間の施術は、必要ありません。

本当に体の弱っている方では、それだけで疲れてしまいます。

大切な事は、長時間の施術ではなく、回復を阻害する「ポイント(五臓六腑の変調)」を見つける事です。

そして、必要なところだけに鍼灸を行う。

そうすると、短い時間で効果を発揮します。また、弱っている患者さんも疲れません。


まとめ

鍼治療の本数・深さ・時間と効果のまとめ

鍼治療の効果は、

  • 本数が多いから良い
  • 深く刺すほど効く
  • 長時間やれば良い

というものではありません。

その人の体の状態に合った「適量」の刺激こそが大切です。

当院では、不妊や自律神経の不調を中心に、体に負担をかけない鍼治療を心がけています。

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派手さよりも、体のバランスを整えること。

それが結果として、安定した効果につながると考えています。

おかだ鍼灸院 院長。

東洋医学(脈診・腹診)を中心に、
自律神経の不調や不妊(妊活)のお悩みを
25年以上臨床でサポートしています。

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