【最終更新日】2026年1月18日
【筆者】岡田匡史(国家資格・鍼灸師)
痔の痛みでお悩みではありませんか?

痔でお悩みの方には、このような経験をされた方も多いと思います。
私自身も、ある時期に痔の痛みと出血を経験しました。
鍼灸師という立場ではありますが、決して他人事ではありません。
この記事では、
私自身が実際に使い、楽になったツボと、東洋医学的な考え方をもとに、痔のセルフケアについてお伝えします。
※症状の程度や体質には個人差があります。無理のない範囲で参考にしてください。
この記事のまとめ|今日から試せるポイント
- まずは腕のツボ「孔最」で痛み・出血にアプローチ
- 出血が気になる方は足のツボ「漏谷」を併用
- 百会や次髎は、無理のない方法でセルフケア
- 数日続けても変化がない場合は、専門家へ相談を
痔の痛み・出血に使われる代表的なツボ【孔最(こうさい)】

孔最は、痔のツボとしてよく知られているツボです。
痔のツボで検索をすると、必ずどこかのサイトに出てきます。
実際に、私自身も痔になった時に
「これは使える」と実感しました。
このツボは、手の太陰肺経という経絡上にあります。
東洋医学では、
経絡とは気血が流れる道のようなものと考えられています。
肺経と呼ばれる経絡は、その名の通り肺と関係していますが、
同時に大腸とも深く関係していると考えられています。
そのため、
大腸のトラブルである痔に対して、肺経上にある孔最が使われてきました。
引用:鍼灸神髄(医道の日本社)
「痔をなほすには肺経の孔最がよく効きます。孔最は肺経だけれども、肺は大腸を絡っているので痔に効くのです。」
つまり、
東洋医学では「肺」と「大腸」は深く関係しており、
そのつながりを利用して痔の症状にアプローチする、という考え方になります。
孔最の場所とセルフケア方法

孔最は腕にあります。
手の平を上に向け、肘を曲げると肘の内側にしわができます。
このしわの上腕二頭筋腱の親指側に「尺沢」というツボがあります。
尺沢から手首に向かって三寸(さんすん)ほど下がったところで、
押すとゴリゴリとした反応が出やすい場所が孔最です。
セルフケアとしては、
市販の台座灸を一日2〜3壮(そう)行うのが目安です。
※一壮(いっそう)とは、お灸を1回すえる単位のことです。
お灸は「熱いのを我慢する」必要はありません。
熱さを感じたらすぐに外すことが、火傷を防ぎ、効果を高めるコツです。

※台座灸の具体的なやり方については、
初めての方でも分かりやすくまとめた「台座灸のやり方」ページで詳しく解説しています。
出血が気になる方に使われるツボ【漏谷(ろうこく)】

漏谷は、ふくらはぎの内側にあるツボです。
孔最と一緒に使うことで、痔の痛みや出血に対して、より整いやすくなります。
引用:鍼灸臨床 新治療法の探求(医道の日本社)
「痔出血の場合に脾経の漏谷と肺経の孔最に施灸をするならば、痔出血は止まる」
漏谷は、足の太陰脾経という経絡上にあります。
東洋医学では、
脾には「血が血管の外に漏れ出ないようにする働き」があると考えられています。
引用:中医学ってなんだろう(東洋学術出版)
「脾気が血脈を統べ、血が外に漏れないようにしている」
そのため、
痔で出血している状態は、脾の働きが弱っている状態と考えます。
漏谷を使うことで脾の働きを助け、血が漏れ出にくい状態へ整えていく、という考え方になります。
私自身も、
孔最と漏谷を併用することで、出血と痛みが落ち着きました。
漏谷の場所とセルフケア方法

漏谷は、内くるぶしから六寸(ろくすん)上の位置にあります。
六寸(ろくすん)とは、
指4本分(三寸)を2回分の長さになります。
内くるぶしに指を当て、
指8本分上を目安にしてください。
脛骨の内側の縁に沿って触れていくと、少し凹んだ場所があります。
そこが漏谷です。
セルフケアとしては、
台座灸を一日2〜3壮(そう)行うのが目安です。
補助的に使われるツボ【百会・次髎・長強】
痔に使われるツボは、
孔最と漏谷以外にもあります。
ここからご紹介するツボは、補助的に使われることが多いツボです。
百会(ひゃくえ)

百会は、頭のてっぺんにあるツボです。
両耳の上端から頭のてっぺんに線を引き、
身体を縦に割る正中線と交わる場所が百会です。
引用:中医学ってなんだろう(東洋学術出版)
「脾気が血脈を統べ、血が外に漏れないようにしている」
お灸が難しい場合は、
指で軽く押すだけでも構いません。
次髎(じりょう)

次髎は、骨盤(仙骨)にあるツボです。
骨盤に触れると、
左右に出っ張った骨(上後腸骨棘)があります。
その少し下のライン上で、
凹んでいる場所が次髎です。
引用:鍼灸治療基礎学(医道の日本社)
「直腸炎、痔疾、脱肛等にも効く」
セルフケアでは、
カイロで温めるだけでも構いません。
長強(ちょうきょう)

長強は、尾骨と肛門の間にあるツボです。
痔核、痔瘻、脱肛などに使われてきたツボですが、デリケートな部位のため、無理な自己刺激は避けてください。
セルフケアを行う際の注意点
このような時は、
セルフケアは控えてください。
数日続けても変化がない場合は、
無理をせず、専門家へ相談することが大切です。
実際にあった患者さんのエピソード

妊活で体調を整えに来られていた方の中に、痔で悩んでいる方がいらっしゃいました。
その方のお母様は、痔で手術をされた経験があり、
自分も将来そうなるのではと不安を感じていたそうです。
鍼灸治療と自宅でのお灸を続けていただいたところ、
痔の症状は落ち着き、安心されたとお話しくださいました。
さらにその後、
娘さんがツボをお母様にも伝え、自宅灸をしたところ、
お母様の痔の具合も改善したと伺っています。
セルフケアで改善しにくい場合について
痔の症状は、
体質や生活習慣、血流、内臓の働きなどが複雑に関係します。
セルフケアでなかなか変化を感じられない場合は、
ツボが合っているか分からず不安になる方も少なくありません。
そのような場合は、
体全体の状態を確認したうえで整えていくことも一つの方法です。
当院では、
脈診・腹診・ツボの反応をもとに、無理のない鍼灸で体を整える施術を行っています。
まとめ
痔は、一人で悩んでしまうと、
ストレスによって血流がさらに悪くなるという悪循環に陥りがちです。
まずは今日お伝えしたツボの中から、
一つだけで構いません。
無理のない範囲で試してみてください。
ツボは体を整えるための一つの手段ですが、正しく使うことで、体の回復を助けてくれます。


