【最終更新日】2026年1月19日
【筆者】岡田匡史(国家資格・鍼灸師)
― 手術を考える前に試してほしい“筋(すじ)”の特効穴 ―
※この記事でご紹介する内容は、すべてのばね指に当てはまるわけではありませんが、実際の臨床経験をもとにした一例です。
親指の「ばね指」で来院された女性のケース

以前、『4カ月前から親指が痛い!』と言って来られた女性がいます。
その方によると、
- 『毎日湿布を貼りかえているけれど、治らない』
- 『以前、反対側のばね指を手術してから皮膚が荒れるようになり、できればもう手術はしたくない』
ということでした。
実際に親指を診てみると、完全に伸びきったまま曲がらない状態でした。
ばね指の進行状態について

経験的に、軽い場合は
朝だけ指を動かすと「カックン・カックン」するが、昼間は問題ないというケースが多いです。
しかし悪化すると、
朝はまったく動かず、昼になると引っかかりながら何とか動くという状態になります。
この女性の場合は、朝も昼もまったく動かない状態が4カ月間続いていました。
そのため正直に、
「手術をしないと治らないかもしれません…」とお伝えしました。
それでも「まだ諦めるのは早い」と考えた理由
症状は重い状態で、正直なところ手術が必要になる可能性も感じましたが、人の体は実際に働きかけてみないと分からない部分もあります。
そこで、まずは一定期間お灸を試してみることをお勧めしました。
まずは、手術を選択する前に、
「3カ月間だけ、お灸を続けてみて下さい」とお伝えし、あるツボをお教えしました。
それが――
ばね指に効いたツボ「陽陵泉(ようりょうせん)」

足のツボが親指のばね指に効く理由

「指が痛いのに、なぜ足なの?」
そう思われる方も多いと思います。
陽陵泉は、東洋医学では「筋会(きんえ)」と呼ばれる特別なツボです。
簡単に言うと、
全身の筋肉や腱(すじ)のトラブルを調整する“司令塔”のような場所です。
昔から、
・腱鞘炎
・手首や指のこわばり
・筋の痛み
といった症状に使われてきました。
そのため、ばね指のような腱の引っかかりにも効果を発揮します。
お灸を続けた結果どうなったか?
陽陵泉にお灸を続けてもらったところ、
- 伸びきっていた親指が、少しずつ曲がるようになり
- 動かした時の痛みも、徐々に軽減
していきました。
※症状には個人差がありますが、数週間〜1カ月ほどで変化を感じ始める方が多い印象です。
セルフケアで重要なポイント【左右どっちにお灸する?】

ここは、とても大切なポイントです。
基本は「反対側」
・右の親指がばね指 → 左足の陽陵泉
・左の親指がばね指 → 右足の陽陵泉
反対側のツボを使うことで、
体全体のバランスを整えながら、痛みが出ている側の緊張をやわらかくすることができます。
強い刺激を加えずに済むため、炎症が強い時でも取り入れやすい方法です。
※変化が出ない場合は、
痛い側と同じ側の陽陵泉が効くこともあります。
陽陵泉の場所とお灸の方法

陽陵泉は、膝の外側にあります。
膝の外側を触ると、
「コリッ」とした骨の出っ張りに触れます。
これを 腓骨頭(ひこつとう) と呼びます。
その すぐ下、少し前方 に陽陵泉があります。
お灸の目安
・台座灸:1〜2個
・透熱灸:7壮
・期間:最低でも1〜3カ月
台座灸と透熱灸、どちらを使えばいい?
お灸が初めての方や、熱さに不安がある方は、台座灸から始めるのがおすすめです。
ある程度お灸に慣れていて、
よりしっかり刺激を入れたい方は、透熱灸を選んでも良いでしょう。
それぞれの詳しいやり方については、以下のページ・動画をご覧下さい。
※動画もありますので、初めての方は動画を見ながら行うと安心です。
まとめ|手術を決める前に、できることはまだある
4カ月間まったく動かなかったばね指でも、
ツボの選び方と使い方次第で、変化が出ることがあります。
手術を迷っている方、湿布や注射で改善しなかった方は、一度「陽陵泉のお灸」を試してみて下さい。
※症状が強い場合や不安がある場合は、医療機関との併用も大切です。
補足(参考)
陽陵泉(合土穴)<筋会>
取穴部位:膝を立て、腓骨頭の前下方
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もしセルフケアを続けても変化が出ない場合や、ご自身の状態に合っているか不安な場合は、専門家に一度ご相談ください。
当院では、ばね指を含めた手や指の症状について、状態を見ながら無理のない方法をご提案しています。


