【記事更新日】2026年1月16日
【筆者】岡田 匡史(国家資格・鍼灸師)
鍼灸師はなぜ施術前に脈診を行うのか?

私(鍼灸師)は、施術を始める前に、患者さんの脈を必ず診ます。
なぜ、脈を診るのかというと、
今の身体の状態を、脈が教えてくれるからです。
脈診は、東洋医学で古くから行われてきた診察方法で、
数値では表れにくい体調の変化や、全身のバランスを知るために用いられてきました。
時々、脈診をしていると
「私の脈は速いですか?」と聞かれることがありますが、脈診では、脈の速さだけを診ているわけではありません。
脈診で分かること|脈の太さ・深さ・触れ方の違い

例えば、脈にも色々あって、
利根川のように川幅の広い「太い脈」の方もいれば、小川のように川幅の狭い「細い脈」の方もいます。
また、脈が指に当たる感触も、
・尖っているように感じる脈
・丸みを帯びた脈
・深いところで触れる脈
・浅いところで触れる脈
など、人それぞれです。
これらは、血流の状態や自律神経の緊張具合などを反映していると考えられています。
脈診で五臓(肝・心・脾・肺・腎)の状態が分かる理由
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脈診では、東洋医学でいう「五臓(肝・心・脾・肺・腎)」の状態を知ることもできます。
右手首の脈からは
「肺」「脾」「心包」の状態を、
左手首の脈からは
「心」「肝」「腎」の状態を診ていきます。
※これは東洋医学における考え方です。
脈診から読み取れる身体の不調や体質とは

それぞれの場所の脈が弱い場合、
・肺の場所が弱い → 肺虚
(風邪を引きやすい、呼吸が浅い、皮膚が弱い など)
・脾の場所が弱い → 脾虚
(胃腸が弱い、疲れやすい、食後に眠くなる など)
・心包の場所が弱い → 心包虚
(ストレスの影響を受け、動悸を感じることがある)
・心の場所が弱い → 心虚
(眠りが浅い、ドキッとしやすい、集中しにくい など)
・肝の場所が弱い → 肝虚
(イライラしやすい、目の疲れ、肩や首のこり など)
・腎の場所が弱い → 腎虚
(冷えやすい、疲労が抜けにくい、足腰のだるさ など)
といったように、身体の状態を総合的に判断していきます。
これらは東洋医学的な考え方によるもので、すべての症状を表すものではありません。
これらの情報から、
・自律神経の状態
・身体が熱を持っているのか、冷えているのか
・不調が浅い所にあるのか、深い所にあるのか
・血流の状態
・血液の状態(貧血の傾向)
・五臓のバランス
などを読み取っていきます。
自分でできる簡単な脈診のやり方【セルフチェック】
※ここで紹介する方法は、あくまで目安です。
正確な判断は専門家が行います。
手首には「撓骨動脈(とうこつどうみゃく)」と呼ばれる動脈が通っています。

右手首の脈をみる場合は、右手のひらを上に向け、手首の骨の出っ張り(撓骨茎状突起)を目安に、中指を撓骨動脈の上に軽く触れます。

そこに人差し指と薬指を添えると、
動脈の拍動を感じられると思います。
脈が速い場合(数脈)に考えられる身体の状態

一分間に80回以上ある脈を、数脈(さくみゃく)といいます。
数脈の方は、
お仕事や家庭のことなどで常に気を張っている、頑張り屋さんの方に多くみられる傾向があります。
交感神経が優位になり、
身体が「休めていない状態」なのかもしれません。
脈が遅い場合(遅脈)に考えられる身体の状態
一分間に60回以下の脈は、遅脈(ちみゃく)と呼ばれます。
遅脈の方は、
エネルギーが少し不足していて、
身体が「少し休みたい」とサインを出している状態とも考えられます。
冷えや慢性的な不調を感じている方にも、
よくみられる脈です。
おかだ鍼灸院が脈診を大切にしている理由

おかだ鍼灸院では、
脈診だけでなく、腹診やツボの反応なども合わせて、全身の情報を集めています。
そうすることで、
一人ひとりの状態をより正確に把握し、
その方に合った施術を行うことができるのです。
最後に|気になる症状があればお任せください
「病院では異常がないと言われたけれど、調子が悪い」
「なんとなく不調が続いている」
そんな時こそ、
身体が出している小さなサインを見逃さないことが大切です。
