腎虚(じんきょ)って何だろう?

院長先生に患者さんが相談している様子

【最終更新日】2026年1月13日
【筆者】岡田 匡史(国家資格・鍼灸師)


最近、こんな不調はありませんか?

女性がなんとなく辛そうにしている図
検査で異常がない不調は腎虚のサインかも知れません

「年齢のせいか疲れが取れない…」
「病院では異常なしと言われたけれど、なんとなく調子が悪い」

その不調、東洋医学でいう
「腎虚(じんきょ)」が関係しているかもしれません。


腎虚チェックリスト

  • 不妊症で子供が授からない
  • 検査で精子が少ないと言われた
  • 子供の発育が悪い
  • 眩暈(めまい)で、ふらつく
  • 物忘れしやすくなった
  • 腰の骨が曲がってきた
  • 足腰が弱くなった
  • トイレが近くなった
  • 喘息になった
  • 以前より不安感が強くなった
  • 耳鳴り・難聴が起きるようになった

その他に見られる症状

早漏・遺精・尿漏れ・不正出血・早産・流産・髪のツヤがなくなる・白髪・下痢・便秘・根気がなく飽きっぽい・歯が抜ける


これらはすべて、腎虚(じんきょ)と深く関係している症状です。
もし3つ以上当てはまるものがあれば、
東洋医学でいう 「未病(病気の前段階)」 のサインかもしれません。

早めにケアを始めることで、
健やかな毎日を取り戻すきっかけになります。


腎虚(じんきょ)とは?

院長が腎虚について説明しる図
東洋医学では、腎は生命力の土台と考えられています

東洋医学で考えられている「腎」の働きは、西洋医学で考えられている「腎臓」の働きとは異なります。

まったく別物というわけではなく、似ているところもあるため少し複雑ですが、東洋医学独自の生命観に基づいた重要な概念です。

腎虚を理解するために、
まずは「腎の働き」について説明していきます。


腎の3つの働きと腎虚(じんきょ)

① 生命のエネルギー「精」を蓄える(封蔵)

腎には、精(せい)をしまい込む働き(封蔵)があります。

精とは、
成長・発育・生殖など、生命活動に必要なエネルギー物質のことです。

子供が、だんだんと成長していく図

このことから、腎は
発育・成長・生殖を管理する臓腑と考えられています。

また、「精は髄を生む」と言われ、髄は骨の中にあり骨を栄養します。

脳は「髄が集まったもの」と考えられているため、精は知能や記憶力の発達にも深く関係しています。

精が不足すると現れる症状

  • 不妊症
  • 発育不良
  • 精液量の減少
  • めまい
  • 物忘れ
  • 骨が弱くなる
  • 髪にツヤがなくなる
  • 耳の聞こえが悪くなる

また、
封蔵の働きが弱くなると、

  • 早漏・遺精
  • 尿漏れ・失禁
  • 不正出血
  • 早産・流産

など、外へ漏れ出る症状が現れます。


② 全身の水分代謝を調節する

足がむくんだ女性

腎は、体内の水分を再利用し、不要な水分を尿として体外へ排出します。

この働きに問題が起こると、

  • 尿量が減る
  • 尿量が増える
  • 頻尿になる

といった症状が現れます。


③ 深い呼吸を助ける(納気)

女性が深呼吸をしている図

呼吸は肺で行われますが、
深い呼吸、特に吸い込む働きには腎が関係します。

この働きを
納気(のうき)と呼びます。

深い吸気によって、
臍の下にある臍下丹田に気を取り込み、精を「元気」へと変化させます。

元気とは
生命活動の原動力となるもの(食欲・性欲・生きようとする力)

この働きが弱くなると、

  • 浅い呼吸
  • 息を吸いづらい
  • 喘息
  • 気力の低下

などが起こります。


腎虚(じんきょ)とは何か?

腎が疲れている図
腎の働きが弱ると、全身に影響が現れます

このように、
腎の働きが低下した状態を腎虚(じんきょ)と言います。

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腎虚になる原因は?

① 長時間の立ち仕事・力仕事

大工さんが重い物を持っている図

東洋医学には
「久しく立てば骨を傷る」という言葉があります。

長時間立ち続ける仕事や、重い物を持つ力仕事は、骨を弱らせ、結果として腎を消耗させます。


② 房事過度(性生活の節制)

性行為や自慰のしすぎは、
腎を弱める原因と考えられています。

参考:養生訓・千金方より

20歳:4日に1回
30歳:8日に1回
40歳:16日に1回
50歳:20日に1回
60歳:精を漏らさない
(体力があれば月1回)

※現代の生活では個人差がありますが、
腎をいたわるための一つの目安として伝えられています。


③ 甘い物の食べ過ぎ

甘いものを食べる女性

甘い物は「土」の性質を持ちます。
腎は「水」の性質のため、
甘い物の摂りすぎは腎の働きを弱めます。


④ 加齢・先天的体質

老夫婦がにっこり笑っている図

加齢とともに、

  • 腰が曲がる
  • 耳が遠くなる
  • トイレが近くなる

といった変化は、
腎虚が進行しているサインです。

生まれつき腎が弱い方もいます。


腎虚の原因まとめ

分類原因対策のヒント
生活習慣長時間の立ち仕事・力仕事適度な休息と足腰のケア
性生活房事過度(出しすぎ)年齢に応じた節制
食事甘い物の食べ過ぎ控えめにして黒い食材を摂る
その他加齢・先天的体質鍼灸や養生で衰えを緩やかに

まとめ

腎虚(じんきょ)は、
老化・不妊・さまざまな不調の根本に関わる状態です。

「年齢のせい」と片づけず、腎の働きを整えることで、体は本来の力を取り戻していきます。

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参考図書

東洋医学概論(医道の日本社)
中医学ってなんだろう(東洋学術出版社)
臓腑経絡学(アルテミシア)
鍼灸臨床能力(緑書房)
わかりやすい臨床中医臓腑学(医歯薬出版株式会社)
中医学の仕組みがわかる基礎講座(医道の日本社)
日本鍼灸医学(経絡治療学会)


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